私はたまフラッと1人でなじみの居酒屋に顔を出す。妻も子もいない時に、自分のためだけに料理をしてもつまらないし、”フラッと1人飲み”という哀愁スタイルに自分で酔っているのかしれない。
いつものカウンターの席に座り、まずは何にしようか吟味する。
🍶【はじまりは、優しき煮付けから】
『最初はちょっと温かくて優しいものがいいなぁ』
と語りかけてくる俺の胃袋。消化吸収の最前線で働く彼の言葉を無視してメニューを決めるわけには行かない。少し選択に時間がかかったが、最初に頼んだのは

甘辛いタレがからみ、ふわっとした優しい味のカサゴの煮付け。
初手としては中々良いチョイスである。健康的で美味いし、胃袋のニーズにもピッタリだ。
そう。「魚は体にいい」――そう信じてきた。この時点では、まだ俺は平和だった。
🐟【第二の刺客、シメサバ】
煮付けを食べたら、次は刺身を食べたくなるのが人情。しかし、多くの品書の中から何を選べば良いか、優柔不断な私はなかなか決められない。
「大将、刺身ですが今日のオススメを出してください」
悩んだ時はそう頼むのようにしている。すると、大将はニヤッと不敵な笑みを浮かべて、「あいよ」と軽快な返事をして用意を始めてくれた。そこで出てきたのは、

この、光り輝くシメサバの刺身である。
「〆たてです」と店主が言う。
脂がのっていて、光り輝くその姿はまさに海の宝石。もはや〆というより限りなく生に近い印象のシメサバは怪しく輝き、俺の胃袋を刺激する。もちろん、美味くないわけがない。鯖の身の甘みが際立つ微妙な酸味が大将の腕の良さを証明している。
…が、ふと脳裏に浮かんだ。
「青魚はプリン体が多いんじゃ…?」
一抹の不安を覚えつつ、シメサバと一緒によく冷えた日本酒で不安を飲み込む。
🐟【そして最終兵器:イワシの一夜干し】
美味そうに食べている俺を見て、少し気分を良くしているように見える店主が言う。
「いいイワシが入ったんで、干してみました」
魚へんに”弱”と書いて鰯。煮てよし、焼いてよし、生でよし、の味においては決して弱者ではないイワシを干してみたという。想像すると、ヨダレが出てしまう。早速注文してみた

焼きたての香ばしい香り。見るからに酒のアテの王者。
しかし、もはや見逃すことはできない。これはおそらく――プリン体の王様。これはプリン体の現実を向き合った上で食べねばならない。
魚種 | プリン体含有量(100gあたり) |
カサゴ | 約120mg(煮付け) |
シメサバ | 約170mg(刺身) |
イワシ干物 | 約300mg超(高レベル) |
・・・ほらね(ーー)
一夜干しで水分が飛び、プリン体は濃縮される。
あれは、旨みではなく尿酸の密度だったのか。
一口かじるたびに、自分の関節が“静かに軋む音”が聞こえた(気がした)。しかし、止めることができない。一夜干しの旨みは俺の心のリミッターを外してしまったようだ。
🧓【でも、美味い。だから、生きていける】
食べる手は止まらない。
止めようにも、箸が勝手に動く。
肝臓が「待って」と言ってる。腎臓が「無理だって」と叫んでる。
それでも、この一瞬の幸せがあるから、俺は尿酸値と付き合っていける。
本日の尿酸曲線グラフ(イメージ)】
120mg(カサゴ) → 170mg(シメサバ) → 300mg(イワシ干物)
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優しさ 違和感 覚悟
”尿酸摂取と心のあり方”をグラフにするなら、このような感じだろうか。これは今後も続くんだろうなぁ〜
✨【今日のひとこと】
「プリン体の階段を登るたび、俺の人生が深くなる」
尿酸値と共に歩むグルメ人生。それは文字通り痛みを伴う旅である。その終着点は決して幸せなものではないかもしれない。でもその階段を登るプロセスは幸せでありたい。
そう思い、今日もまた一歩、美味い夜を歩み続けるのだ。
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