韓国料理屋に入った瞬間、私は思った。
「これは厳しい戦いになる」
繰り出される料理の数々にどこまで理性を保てるか、自分を信じてテーブルに着く。
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まずはマッコリ。
真っ白なその姿は、一見おだやかでやさしげ。でも、私は知っている。
アルコールと糖質とプリン体をまろやかに包み込んだ、**敵(とも)**である。
「今日だけ、今日だけ」と自分に言い聞かせて乾杯するのが、この酒の正式な飲み方だと思う。
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そして次にやってきたのが、チーズチヂミ。
表面カリッと、中トロ〜リ、ピリ辛でビール泥棒(今回はマッコリ泥棒)。
ひとくち目で笑顔、ふたくち目で後悔、みくち目で「ま、いっか」。
ここまでで、もはや尿酸値のことなんて遠い昔の記憶である。
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極めつけは、サムギョプサル。
焼かれた豚バラ肉がジュウジュウと音を立て、サンチュの上でキムチ、ニンニク、コチュジャン、青唐辛子と合体。
まるで「これで満足しない奴いる?」と問うてくる。
いや、満足です。
でも医者には言えないです。
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こうして私は、私はテーブルに着いた時の決意は早々に破棄し、フェブリクの力にすべてを託した一夜を過ごした。最終兵器のロキソニンもあるし。
翌朝、指がちょっとむくんでいる気がしたが、気のせいだということにして、麦茶ガブガブと飲んでおいた。目立った痛みは、幸いでていない。
健康と幸せの両立とは、いつもギリギリの戦いの上に成り立っているのだ。
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