痛風で一番つらいのは、
痛みそのものじゃない。
そう思うようになったのは、
発作のせいで「できないこと」が増えてきた頃だった。
40代前半、
ボクシングは引退していたが、筋トレやテニスなどの運動をするようになっていた。
ところが、関節に痛みがあると、
それらの運動ができない。
当然、予定していたレッスンやトレーニングを諦めてスケジュールを組み直す。
そのたびに、
後悔に近い感情が残った。
忘れられない出来事がある。
足が腫れて、痛くて、革靴が履けなかった。
しかし、出勤しない訳にはいかない。僕は仕方なく、クロックスで出社した。
会社の仲間とは、笑ってネタにしていたが、心の中では、
「本当にこれでいいのか?」
という声が消えなかった。
痛風の話をすると、
だいたい同じことを言われる。
「美味しいもの食べてるからでしょ」
もちろん、それも原因の一つだ。プリン体含有量が多い食事は青魚や肉、魚卵など高級食材に多く含まれている。しかし、実際は尿酸の分解能力などは遺伝的な要素も大きい。それを理由に反論したくもなるのだが・・・
毎日酒を飲んでいる自分のことが頭に浮か美、グッと我慢する。
言い返せない。
でも、納得もできない。
その歯痒さが、
少しずつ自分に向いていった。
痛風による痛みの症状は、徐々にひどくなっていた。
もちろん頻度も増えていた。
「なんとかしないと」
そう思っているのに、
行動できない。
この頃の感覚を一言で言うなら、
諦めているが近い。
痛風を治す、というより、
酒をやめることを諦めていた。
食生活は多少気をつけた。
有酸素運動の比率も増やした。
でも、酒だけは違った。
「週に1回、飲まない日を作る」
そう決めても、
1ヶ月続いたことはなかった。
今振り返ると、
自分は痛風そのものよりも、
真剣に向き合うことを、恐れていた
のかもしれない。
当時、僕は会社を経営していた。
仕事では、目標を立てたら、必ず達成する。
そういう姿勢でやってきた。
だからこそ、もし痛風改善のために酒を控える目標を設定して、
それを達成できなかったら——
自分を否定してしまう未来が見えていた。
それが、怖かった。
だから、向き合わない。
向き合わなければ、
失敗もしない。
そうやって、
自分を守っていたのだと思う。
この頃の自分を表すなら、
弱い自分を、はっきり認識するのが怖い人間。
それ以上でも、
それ以下でもない。
痛風患者は大なり小なり、そういうマインドの人が多いと思う。
結果的に自分を責め続けてしまい、心まで疲れていってしまうのだ。

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