少し昔話をしよう。僕が33歳頃、今から15年ほど前の話だ。
当時、僕はボクシングをしていて、ある日、人差し指の付け根が痛くなった。
突き指したのだと思った。ボクシングではよくあることだ。
ところが次の日になると、今度は中指が痛い。
さらに翌日は薬指。
「突き指って、横に移動するんだな」
今思えば、そんなわけはない。
でも当時の僕は、本気でそう思っていた。
しばらくすると痛みは引く。
また忘れた頃に、別の指が痛くなる。
不思議だな、とは思ったが、
「まあ、運動してるし」「年齢的なものかな」
その程度の認識だった。
この時点で、すでに“軽く見ていた”のだと思う。
異変をはっきり意識したのは、40歳手前だった。
さすがにおかしい。
世間では「痛風」という病気があるらしい、という話も耳にするようになった。
そこで初めて病院に行った。
尿酸値が高く、痛風と診断され、投薬が始まった。
ただ、その時の正直な感想はこうだった。
「痛いだけの病気だな」
痛み止めを飲めば、痛みはすぐに引く。
ロキソニンはよく効いた。
これで解決じゃん。
心の中では、完全にそう思っていた。
ロキソニンを飲むのは、本当に痛いときだけ。
軽い痛みは「まあいいか」と無視する。
薬を飲めば治る。
正確には、痛みが消える。
この違いを、当時の僕は考えもしなかった。
今振り返って、「後悔」というほど大げさな感情かと言われると、少し違う。
ただ、はっきりしているのは、
この瞬間に、痛風という病の本質を見誤っていたということだ。
- 病気と向き合う問題ではなく
- 生活を見直す問題でもなく
- 将来の話でもなく
「今の痛みをどうやり過ごすか」の話にすり替えていた。
僕の場合、痛風と思われる症状の発現から病院に行くまでに約6年かかっている。
それだけの時間を、”よくわからない”まま過ごした。
それによって、表面的に何か劇的に悪化したわけではない。
医者にそこまで怒られたわけでもない。
ただ、やっと気づけたのに、それでも
向き合うべきものを、向き合わないままにした。
それが後になって、じわじわ効いてくる。


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